かの高位メイジにとって、死は小さな手違いに過ぎなかった。彼の計画は少しの間中断されるが、七回の転生を経験した今となってはそれは小さな障害でしかなかったからだ。
しかし、彼はあることを忘れていた。計画が己よりも高い地位にある者たちの邪魔になれば、間もなく自分にも罰が下されるということに。そして、再度訪れた死は彼を慰めてはくれなかった。
別世界に送られた彼は、他人の身体の中にいた。そして最大の誤算は、残っていた記憶が一つ前の生涯で築いたものだけだったことだ。それよりも前に学んだことは全て消え失せていた。困難な状況に追い込まれた彼に残されていた選択肢は、新たな世界で一から地位を築き上げるか、あるいは絶望に打ちひしがれて全てを諦めるかだった。
しかし、レグ・オンドに諦めるという選択肢はなかった。ヒグマの一族に臆病者の居場所はない。戦うことを選んだのなら、それは心の臓が止まる瞬間まで戦うと同義。何と言っても、彼はこの新世界のことを...何よりここで使える魔法のことを、学び理解する必要があった。この子熊に価値がないなどとは、誰にも言わせてやるものか!
エリックは、「偉大なるシステム」が統治する世界に、オーカスで一目置かれている鉱員のアレン・バーグマンの子として生まれた。だが、息子誕生の喜びも束の間に、生まれたての赤子はあまりに残酷な運命を背負っていた。エリックは完全に「ゼロ」状態だった ー レベルゼロ、「特長」ポイントもゼロ。彼をかろうじて生かしていたのは、基盤の「補給元素」である、わずかながらの「生命」と「エネルギー」だけだった。
エリックを助産した呪術師は、これは邪悪な力「バグ」の仕業だろうと言った。偉大なるシステムによる奇妙な秩序の中では、エリックは「経験値エッセンス」も「特長アップのパネル」も使うことができず、一生をベッドから出られずに過ごす可能性があった。だが、父アレンは解決策を見つけ出した。銀行で大金を借りて都市へと出向き、闇市場でレベル条件のない「古代族」の遺物を購入したのだ。
遺物を装備していてもエリックは脆弱で、町の誰もがエリックを奇異の目で見ている。それでもエリックが自分で動けるようになったことが、バーグマン一家には希望の光だった。だが悲しきかな、それも長くは続かない。エリックの十四歳の誕生日に、父と母は鉱山事故で亡くなってしまう。銀行はエリックが生まれ育った家を奪っていき、残りの借金を働いて返済するためにエリックは曲がり山の地下迷宮に行くしかなくなってしまう。
そしてここから、「ゼロ」から始まる少年の、生き残りをかけた奮闘の物語が始まる...